宅地建物取引業を営む者は、宅建業法に基づき、
国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けなければならない。
そして宅地建物取引士になるにはまず、
宅地建物取引士試験(宅建試験)に合格しなければならない。
以下ではこの資格試験に関する情報をまとめていく。
特に2020年は新型コロナウイルスの影響で
変更点が多数あるため注意が必要。
試験日程
まずは、試験に関する情報の開示から申し込み、試験日、合格までのスケジュールを説明していく。
情報公開日
毎年6月上旬(第1金曜日)に、試験情報が発表される。
官報への掲載も同時になされるが、基本的には不動産適正取引推進機構のサイト(以下、公式HP)をチェックしておけばいい。
申し込み締切日
7月1日から、公式HPにて試験案内が掲載・配布され始める。
それと同時に、申し込みの受付も始まる。
試験案内の期間および申し込み締切日は以下の通り。
- インターネット:7月1日~15日まで
- 郵送:7月1日~31日まで
郵送のほうが期間が長いため、インターネットからの申し込みに遅れてしまった場合には、郵送で対応すると良い。
申込みに必要なもの
- 顔写真(パスポートサイズ:縦4.5cm×横3.5cm)
- 受験料7,000円
受験料を納め、申し込みが完了するとしばらく期間を置いて「受験票」が送られてくる。
受験票送付は、毎年9月末頃になされる。
2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、後述のように、試験日が12月27日となる可能性がある。試験日の変更に伴い都合が付かなくなってしまうことも想定されるが、その場合受験料は返還されるとのこと(2020年7月12日現在の情報)。
試験日
試験は毎年1回、10月下旬(第3日曜日)に実施される。
試験当日は、午後1時~午後3時の2時間で試験が行われる。
2020年は予定通りなら10月18日の日曜日に実施されるが、新型コロナウイルスの影響により、例年通りに試験会場を借りるのが難しいとされている。そのため試験会場が不足するおそれがある。その結果、試験会場における受験可能人員を上回ると別日に試験が行われることとされている。
その場合の追加試験日は、12月27日の日曜日が予定されている。
合格発表日
合格発表は毎年、
- 11月の最終水曜日
- 12月の第1水曜日
のいずれかで発表される。
※2020年の追加試験日で実施された場合には2月頃が予想される。
※合格後、宅地建物取引士となるには、都道府県知事の登録と、宅地建物取引士証の交付を受ける必要がある。
試験会場
試験会場は全国に多数用意されるため、基本的には住所地の都道府県で受験することになる。
原則は住民票のある都道府県が試験会場となるが、
学生や単身赴任などの事情により住民登録とは異なるところに住んでいる人は、
現に住んでいる都道府県での受験が可能。
→ 試験会場通知の送付は毎年8月頃
受験資格
宅建試験には年齢・性別・学歴・実務経験などの受験資格は存在しない。
誰でも受けることができる試験である。
※ただし合格後の資格登録には一定の条件がある。
合格率
合格率は毎年15%~18%ほどである。
前回(令和元年)の宅建試験では17%と比較的高い合格率であったと言える。
以下、簡単に過去6年分の合格率および合格点等のデータを紹介する。
年度 | 合格率(%) | 合格点(点) |
令和元年 | 17.0 | 35 |
平成30年 | 15.6 | 37 |
平成29年 | 15.6 | 35 |
平成28年 | 15.4 | 35 |
平成27年 | 15.4 | 31 |
平成26年 | 17.5 | 32 |
難易度
宅建試験は、難関と言えるほど難しい試験ではないが易しい試験とも言えず、
中程度の難易度とされる。
受験資格がなく、誰でも受けることができる状態で20%弱の人が合格していることからもこのことは言える。
→ 大学で特定の学部を卒業していることも求められず、実務経験のあるプロであることも求められない中、5人に1人近くは合格している。
そのため、他の国家試験と比べるとやや受かりやすいとも言われている。
ただし不動産関連、法律関連の用語にまったく馴染みのない方であればやや勉強に時間がかかることが予想される。
問題が特別難しいわけではないが、
専門用語が多いことに加え学習範囲も広いため、
これまで不動産業界に興味を持って過ごしていたかどうかで体感する難易度に差が出てくる。
ただ、しっかりと勉強をすれば受からない試験でもないため、心配な方は予備校や通信講座などを申し込むと良い。これらを利用すれば独学の場合に比べて、予備知識のない方は取り組みやすくなる。
=講座例=
「フォーサイト」 通信教育専門校として、25万人の受講生あり。 | ![]() |
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試験内容
試験の科目、試験の実施方法等を最後にまとめる。
試験科目
宅建試験の試験科目は4科目。
- 宅建業法:20問
宅建士の報酬に関する制限・罰則についての問題。営業保証金、35条書面、37条書面、クーリングオフなどの出題も多い。基本的には暗記が中心で、点を稼がなければならない分野とされる。 - 法令上の制限:8問
土地計画法や建築基準法、国土利用計画法、農地法などから出題される。数値などの暗記が必要となる。 - 権利関係:14問
民法や借地借家法、不動産登記法などから出題される。
民法は暗記だけでなく内容理解が欠かせない。さらに範囲が非常に広いため難易度は高め。 - 税金・その他の法令:8問
税法や不当表示防止法、住宅金融支援機構法、地価公示法などから出題。主に税金に関する知識が問われる。
試験方式
前項の4科目、合計50問を四肢択一式で試験が行われる。
→ マークシート方式
このうち合格点は31点~37点ほどで推移している。
前述の通り、2020年は12月に追加試験が行われる可能性がある。この場合、試験問題は異なるものとなる。合格点などもまったく同じとはならず、実質的に同じレベルになるように調整されるとのこと。