法定地上権の成立要件
法定地上権が成立するためには、、
- 前提として 土地+建物 が存在し 同一の所有者 に属すること。
- 土地か建物に抵当権が設定される。
- 土地と建物の所有者が異なるに至ること。
※同一の所有者に属していれば、登記名義が別々でも成立する。
※設定後、どちらかを譲渡しても成立する。
※抵当権の順位の変更は法定地上権に影響しない。
ーケース1:A所有の土地にB所有の建物があるー
例1)
A所有の土地にB所有の建物がある状態で、Xがこの土地に抵当権設定した。その後、AはBから建物を取得。そしてYが土地に2番抵当権を設定した。
この場合、Xが1番抵当権を実行しても法定地上権は成立しない。
→ Xは法定地上権を期待できる立場ではない。もともと底地や約定地上権ありきでの契約のはずだから。
例2)
例1同様、A所有の土地にB所有の建物がある場合において、Xが建物に抵当権設定した、その後、BはAから土地を取得。そしてYが建物に2番抵当権を設定した。
Yが2番抵当権を実行すると法定地上権は成立する。
→ Xは当初法定地上権を成立させられる立場になかったが、Bは2番抵当権を建物に設定した時点で成立を覚悟すべき。
ーケース2:A所有の更地があるー
A所有の更地がある場合において、Xが土地に1番抵当権を設定した。その後Aは建物を建てた。さらにYが土地に2番抵当権を設定した。
Yが2番抵当権を実行しても法定地上権は成立しない。
→ Xは更地での担保設定をしておりAは背信的行為をしている。Xの保護のため法定地上権は成立しない。
ーケース3:A所有の土地にAB共有の建物があるー
A所有の土地にAB共有の建物がある場合、この土地の抵当権が実行されると法定地上権は成立する。
そして、建物の、A持分の抵当権が実行されても法定地上権は成立する。
→ 共有物につき抵当権の設定は自由にできるが、共有者(B)にとって不利な扱いは許されないから。
ーケース4:AB共有の土地と建物があるー
AB共有の土地と建物がある場合で、A持分につき土地または建物どちらかに抵当権を設定。
この抵当権のどちらを実行されても法定地上権は成立しない。
→ そもそも共有の土地は同意がなければ地上権が成立しないから。
その他法定地上権の特徴
・存続期間は最低でも30年。
・成立済の法定地上権は、建物が滅失しても消滅せず、建物を新築する旨の掲示によって対抗力を維持できる。
⇔ 土地と建物に抵当権を共同設定した後で、建物を取り壊して新築した場合は「背信的行為」にあたる。よって新築の建物については抵当権が及ばず、法定地上権は成立しない。
・抵当権設定後に建物を建築しても成立しない。抵当権者が建築に承諾していても成立しない。