【民法改正】更改まとめ~債務者交替・債権者交替・担保の移転~

「更改」に関して、民法513条から518条に規定が設けられている(なお、516条・517条は削除された)。

それぞれの条文を見て、旧民法からどのように改正されたのか解説していく。

更改とは

まず更改とは何か。
更改の効果や発生要件は513条に規定されている。

同条によると、更改とは従前の債務に代えて新たな債務を発生させる契約をいう。
そしてその時従前の債務は消滅する。

513条
「当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。」
一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
二 従前の債務者が第三者と交替するもの
三 従前の債権者が第三者と交替するもの

更改が起こるケースとしては
「一」にあるように契約の内容が変わるときと、
「二」「三」にあるように人が変わるときに分けられる。

そして人が変わるときのパターンには

  1. 債務者が変わる
  2. 債権者が変わる

の2つがある。

 

そこで債務者が交替するときのルールを下で解説していく。

債務者が交替する更改

債権者をA、旧債務者をB、新債務者をXとする。

A ⇔ B から
A ⇔ X の関係に

この更改をするとき、原則は三面契約、つまりA・B・Xの合意により成り立つ。

さらに債権者Aと新債務者Xの契約によって更改をすることも可能

旧民法では、旧債務者Bの意思に反して更改はできないとされていた。
しかし新債務者Xは求償権を持たず、旧債務者に迷惑をかけることはないためこの規定は削除。

ただ、この場合には債権者Aが旧債務者Bに対し通知をしなければ更改の効力は生じない

 

このあたりのルールは「免責的債務引受」と類似する。

例えば債権者と新債務者の契約により成立させることもできるが、その場合には債権者から旧債務者に通知を要するところは同じルールで共通させている。
このことは免責的債務引受と更改の性質が似ていることに由来する。

一方で旧債務者Bと新債務者Xだけで成立させられない点は免責的債務引受と相違する。

詳しくはコチラの記事に。

【民法改正】免責的債務引受は債務者の意思に反してもできるようになった
免責的債務引受とは 免責的債務引受とは、引受人が債務者の債務と同一のものとを引き受けて、債務者が自己の債務を免れる契約のこと。 例えば債権者A、債務者Bがいる場合においてCが免責的債務引受をすると、Cが引受人となりBは債権債務関...

 

条文は以下。

514条
1項「債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。この場合において、更改は、債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。」

 

次に債権者が更改により交替するパターンを見ていく。

債権者が交替する更改

旧債権者をA、債務者をB、新債権者をXとする。

A ⇔ B から
X ⇔ B の関係に

この更改をするには三面契約、つまりA・B・Xの合意が必要。
新債権者と債務者だけの契約で効力を生じさせることは不可
この点債務者交替の更改とはルールが異なる。

515条
「債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。」

 

最後に、更改に伴う担保権の移転に関して解説する。

新債務への担保の移転

旧債務に付いている抵当権を新債務にも移したいというケースがある。
そこで①債務者交替による更改②債権者交替による更改の2パターンでどのようにすればいいのか見ていく。

まず①に関しては、債権者が移すことができる。
ただし更改の相手方にその旨の意思表示をしなければならない

次に②に関しては、旧債権者が移すことができる。
ただしこちらも債務者に対しその旨の意思表示をしなければならない。

 

旧民法では、更改の当事者が移せると定められていたが、この場合担保の設定者でもない者が移転に反対し得ることとなり不合理ということで、移転についての主体は債権者に改められた。

 

なお債権者と新債務者の契約により更改をした場合(抵当権設定者は旧債務者)、移転するのに旧債務者の承諾が必要となる。
このルールは従前と変わらない。
旧債務者は更改の当事者ではなく、第三者の設定した抵当権を移すことになるから。

518条
1項「債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。」
2項「前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。」

移転ができるのは抵当権質権に限られることに注意。譲渡担保、保証を移転することはできない。この点免責的債務引受とは異なる。

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