【民法105条 改正】復代理人を選任したときの責任をわかりやすく解説

復代理人を選任したときの責任は重くなる!

民法改正により、2020年4月1日から多くの規定が変わることとなり、試験対策を新たに行う必要が出てきます。民法は数ある法律の中でも基礎となる基本的なもので、法律に関する資格試験ほとんどで学習する必要性のある科目となっています。司法試験や予備試験、司法書士試験、行政書士試験など、他にも多くの試験があります。これらを受験する方は改正の内容に目を通しておくといいでしょう。

ここでは復代理に関する責任問題に言及していきます。

復代理人のした行為に対する責任について、改正内容を簡単にまとめると下のようになります。

  • 現行民法105条は削除
  • 削除に伴い、任意代理人が復代理人を選任したときの責任範囲が広がる

以下で詳しく解説していきます。

復代理の基本

まずは簡単に復代理について復習していきます。

「復代理人」とは
「本人の代理をしている代理人から、代理を頼まれた者」
です。

民法104条でも本人から委任を受けて代理することになった者は、以下の場合、復代理人を選任できると定められています。

  • 本人の許諾を得たとき
  • やむを得ない事由がある

代理人のうち、本人から委任を受けて代理することになった者を「任意代理人」と言います。

これに対して、法律により本人を代理すると定められている場合の代理人を「法定代理人」と言います。

上の104条に従うと、任意代理人が復代理人を選任できるケースは、本人に許可してもらえたときと、「やむを得ない」場合だけです。

任意代理人は債務不履行の責任を負うことに

現行の民法、第105条には、代理人が復代理人を選任した場合の責任に関する規定があります。

改正前民法第105条
「代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。」
「代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。」

つまり第1項によると、
復代理人が任された仕事をこなさない場合でも代理人がすべての責任を負う必要はなく、その者を「選任したことおよび監督に関してのみ」責任を取ればいいということになっています。
ちゃんと監督していたにもかかわらず懈怠を防げなかったならしょうがない、と考えるのです。

第2項では、
本人が指名して復代理人を選んだのであれば、責任問題についてもはや代理人は関係なくなるということになります。
ただし仕事をしっかり遂行していないことを知りながら放置していたのであれば責任を負ってもらうとなっています。

改正民法では、これらを定めた第105条は1項2項ともにまとめて削除されます。
そのため、選任監督にのみに責任を制限されることも、本人の指名による責任逃れという考え方もなくなります。

そこで復代理人が仕事をミスをすると代理人が全ての責任を負うことになります。本人との関係性から見れば、本人を債権者、代理人を債務者とする、債務不履行一般の責任問題であると考えます。

これは、代理人と復代理人との関係は内部関係とする見方であり、選任することに許可をしただけの本人と復代理人との関係性は希薄であるとします。
改正後は、復代理人のミス=代理人のミス、となるため、代理人は容易に復代理をすることなく、自己責任で仕事を完了させたほうがいいでしょう。

本人の指名がある場合は過失相殺の問題

現行民法において第105条2項では、本人が指名したときの責任問題についても規定されています。改正後、本人によって指名され選任された復代理人が仕事をしなかった場合にはどうなるのでしょうか。

この場合には、復代理人を指名した本人のミスと見ることもできるため、過失相殺の問題として処理されるようになります。
一律に「どちらかの責任となる」、逆に「責任を免れる」と定めるのではなく、過失の度合いで調整し柔軟に対応していくことになります。

改正の理由

現行民法105条が削除される理由は、「復代理人を選任することで代理人の責任が軽減される」ことに妥当性があるとは言い難いと結論付けられたためです。

105条がなくなることで、106条の規定が改正後の105条に下りてきます。同様に、改正後の106条は現行の107条が対応することになります。ただし同条の第2項は少しだけ変更が入ります。

改正民法第106条
「(現行第107条1項のまま)」
「復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。」

これは復代理人の権限に係る規定です。

あくまで復代理人も本人を代理しているのであり、代理人を代理するわけではないという本質に基づいています。

本人を代理し、その効果が直接本人に帰属する以上、代理人と同じ権限と義務を負わなければなりません。

効果内容に変更はありませんが、「その権限の範囲内において」という文言は現行民法第107条2項にはなく、新しく付加されます。よりわかりやすい民法にするためです。

法定代理人だとどうなる?

任意代理人の場合、
復代理人を選任したければ本人の許諾を得る、もしくはやむを得ない事由がなければなりません。

一方法定代理人なら、
その性質上、自由に復代理人を選任することができます。

例えば本人が判断能力の落ちている人だったり、赤ちゃんだったりすると、許可をもらうのは困難です。そこで代理権授与について柔軟な対応ができるようになっています。
ただしその復代理人がきちんと仕事をしなければ法定代理人も責任を取らなければなりません。当然、自己責任であり、選任・監督の範囲に限られません。

しかしやむを得ない事由により選任したという事情があれば、法定代理人であっても、選任および監督の責任のみ負うことになります。

法定代理人に関する現行民法は106条にその定めがあります。基本的に内容の変化はなく、105条の削除に伴う文言が変更されるのみです。

まとめ

「任意代理人が復代理人を選任したときの責任の範囲」に関して定めていた現行民法105条は削除されます。その結果、責任範囲は広がります。選任・監督に関してのみ責任を負うという軽減はなくなります。

任意代理人と本人との関係おいては、債務不履行一般の責任問題として扱うことになります。

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