【民法改正】併存的債務引受の判例法理が条文化

併存的債務引受とは

併存的債務引受とは、引受人が債務者の債務と同一のものとを引き受ける契約のこと。

例えば債権者A、債務者Bがいる場合においてCが併存的債務引受をすると、Cが引受人となりBとCは連帯債務の関係になる。

なお、併存的債務引受と関連する「免責的債務引受」の記事はこちら

【民法改正】免責的債務引受は債務者の意思に反してもできるようになった
免責的債務引受とは 免責的債務引受とは、引受人が債務者の債務と同一のものとを引き受けて、債務者が自己の債務を免れる契約のこと。 例えば債権者A、債務者Bがいる場合においてCが免責的債務引受をすると、Cが引受人となりBは債権債務関...

併存的債務引受の効果を生じる3パターン

併存的債務引受の効果を生じさせるためには下の3つのパターンのいずれかに該当する必要がある。

①:三者の合意

当然ながら、債権者と債務者、そして引受人が合意をして併存的債務引受をすることは可能。

②:債権者と引受人との契約

債権者と引受人のみの話し合いによって当該契約を結ぶことも可能。

470条2項
「併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。」

しかも債務者の意思に反して契約することもできる

なぜなら、併存的債務引受とは「保証」と似た性質を有する行為であり、保証は債務者の意思に反してもすることができると定められているから。
この規定とのバランスを取るため、併存的債務引受に関しても債務者の同意が必須とはされていない。
そもそも債権者にとって大きなメリットがあるのに対し債務者は基本的にあまりデメリットがない。

③:債務者と引受人との契約

債務者と引受人が契約することでも効果を生じさせることができる。ただしこの場合には「債権者の承諾」が必要

そしてこのときの併存的債務引受は「第三者のためにする契約」として扱われる。

470条
3項「併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。」
4項「前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。」

「第三者のためにする契約」とは、当事者の一方が第三者に対して給付することを約する契約のことで、上の例で言えば「当事者」が債務者Bおよび引受人Cで、「第三者」が債権者のAということになる。

そしてその効果は第三者が受益の意思表示をしたときに生じるとされている。

537条
1項「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。」
3項「第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。」

つまり併存的債務引受における「債権者の承諾」が、第三者のためにする契約における「受益の意思表示」と同等になり、債務者と引受人の契約のみでは効果を生じないということになる。

引受人の抗弁について

改正民法471条1項では、債務者が有する抗弁権をもとに引受人も抗弁を債権者に主張することができるとある。

そのため債務の不成立や、すでに取り消されている場合、解除されている場合、弁済があった場合などには債務者だけでなく引受人も抗弁をもって対抗できる。

三面契約との違い

債務者が債権者に対し取消権または解除権を持っているときには、引受人は履行を拒絶することができるが、解除や取消自体はできない

なぜなら、契約上の地位まで引受人が有することにはならないから。
あくまで履行を拒むことに留まる。

ただし契約上の地位も移転する内容の契約をしたのであれば当然解除権・取消権も移転することになる。
ただこれは併存的債務引受ではなく、三面契約の話になる。

つまりA・B・Cの三者で地位の移転に関しても合意をすることが必要。

改正民法539条の2ではこの三面契約に関する規定が明文化されている。

「契約上の地位の移転」に関する民法改正はコチラ

【民法改正】契約上の地位の移転に関する通説を条文化
契約上の地位の移転とは 契約上の地位の移転とは、 例えば売買契約における売主Aと買主Bがいる場合において、Aが売主としての地位を第三者であるCに移すような場合をいう。 A ⇔ B 地位の移転があることで売主Cと買主Bという関係性...

まとめ

併存的債務引受とは「引受人が債務者の債務と同一のものとを引き受けること」を言う。

そして併存的債務引受の効果を生じさせるためには、下のいずれの手段による。

  1. 債権者・債務者・引受人の三者で合意する
  2. 債権者と引受人で契約する
  3. 債務者と引受人で契約する + 債権者の承諾を得る

併存的債務引受に関連する内容はコチラ

【民法改正】免責的債務引受は債務者の意思に反してもできるようになった
免責的債務引受とは 免責的債務引受とは、引受人が債務者の債務と同一のものとを引き受けて、債務者が自己の債務を免れる契約のこと。 例えば債権者A、債務者Bがいる場合においてCが免責的債務引受をすると、Cが引受人となりBは債権債務関...
民法改正に関するおすすめの書籍
3時間でわかる! 図解 民法改正一刀両断! 債権法・相続法 民法大改正 完全解説 全条文付

3時間でマスターできるか微妙であるが、ざっくりと学べて良い。また、改正の背景も記載されていて良い。一つの内容につき見開きで解説が完結しており、読み進めやすい。

司法書士試験向けで出版されているものの、資格試験の出題を意識した解説がされているため他の書籍とも併せて使うと良い。相続法までカバーされている。