上訴や再審の種類など、刑事訴訟法における救済手続をかんたんに解説

刑事訴訟において誤審が起こることもあり得ます。そこで刑事訴訟法では救済制度も設けています。簡潔にまとめると以下のようになります。

  • 「判決」に対する救済 = 控訴・上告、再審
  • 「決定」に対する救済 = 抗告
  • 「命令」に対する救済 = 準抗告

※控訴、上告、抗告をまとめて上訴と言います。

上訴について

上訴とは「未確定の裁判に対し是正を求める不服申し立て」のことです。

原則、上訴は当事者(被告人・検察官)が申し立てます。しかし被告人の弁護人や法定代理人(親など)も上訴の申立てができると定められています。

上訴の要件

上訴をするには「上訴の利益」が求められます。

例えば無罪判決の場合、被告人側にさらなる裁判を求める必要性はないということになり、上訴することはできなくなります。

形式裁判における公訴棄却や免訴があったときも同じく、被告人は上訴を申し立てることができません。

また、上訴を申し立てる場合、申し立てができる期間にも制限があります。

  • 上訴権は裁判の告知により発生
  • 控訴・上告はそこから14日間
  • 即時抗告は3日間
  • 特別上告は5日間

この期間を経過すればそれぞれ上訴権は消滅します。

※通常抗告に期間の制限はない

上訴の効果

上訴の申立てにより裁判の確定および執行が停止されます。

また事件が上訴審に移転するという効果も生じます。

上訴の効果は原裁判のすべてに及びますが、裁判の一部を上訴することも可能です。

不利益変更禁止の原則

被告人が上訴に委縮してしまわないよう、「不利益変更禁止の原則」なるものがあります。

これは、被告人や弁護人等が控訴や上告をした場合に、上訴審で、原判決より重い刑に変更されないという原則のことです。救済を求めて申し立てた結果、より悪い事態になってしまうことを防いでいます。現状維持か、被告人に有利な結果となる結末しか起こり得ません。

なお、不利益変更禁止の原則における「重い刑」とは、執行猶予や訴訟費用など、総合的な判断をした上で実質的に不利益になっていないかどうかを評価されます。

形式上刑が軽くなるだけで、実質的に負担が増えるといったことが起こらないように配慮されるのです。

控訴について

控訴とは「第一審判決に対する高等裁判所への不服申し立て」のことです。

控訴理由は法定されており、実際に申し立てる場面では、控訴理由にあたりどこに間違いがあるのか具体的に記した控訴趣意書を提出します。

控訴審における公判手続では、特則として被告人に出頭義務はありません。証拠調べや被告人質問も必要があるときにだけ行われるものとして規定が置かれています。

控訴申立てが適法になされ、控訴理由があると判断されると、判決で原判決が破棄されます。

上告について

上告とは「最高裁判所に上訴」することを言います。

上告ができるケースは限られており、原則、憲法違反および判例違反の場合だけに可能です。

ただし判決に影響を及ぼすような法令違反があるとき、量刑が甚だしく不当なとき、重大な事実誤認があるとき、再審事由があるときなどにも上告審で原判決を破棄することができます。

抗告の種類

抗告とは「決定に対する不服申し立て」です。

さらに、抗告は特別抗告と一般抗告に分けることができます。

さらに、一般抗抗告は通常抗告と即時抗告に分けられます。

準抗告とは「命令に対する不服申し立て」です。

特別抗告とは

特別抗告は「最高裁判所を管轄裁判所とする抗告」のことです。

特別抗告ができる対象は限定的で、申し立て理由も憲法違反や判例違反に限られます。申立てが可能な期間も5日間です。

通常抗告とは

通常抗告とは「裁判所の管轄や訴訟手続に関する決定以外の決定を対象とした抗告」です。

即時抗告とは

即時抗告は「法定の、限られた事項についてのみ可能で、迅速な解決を要する抗告」のことです。即時抗告ができるものについては法律の条文で個別に定めが置かれており、3日間という短い期間に限り申し立てをすることができます。

準抗告とは

準抗告は「命令に対する不服申し立て」です。忌避申し立て却下裁判や押収物の還付に関する裁判、勾留や保釈に関することが対象です。対象となる事由はすべて429条1項に列挙されています。準抗告ができる期間も3日間で、原裁判をした裁判官の属する裁判所に対し申し立てます。

確定判決に対する救済手続

通常は判決が確定すると、後からこの内容につき争って、結果を覆すことはできません。しかし非常救済手続として、一部の場合には再び争うことができるよう制度が設けられています。

再審とは

再審とは「確定した判決を是正するための、裁判をやり直す手続」のことです。無実の被告人を救うために設けられた定めです。そのため有罪判決の者にしか再審の請求は認められません。

再審請求に理由が認められると再審開始が決定。一方で請求に理由がない、または不適法であるときには請求棄却が決定されます。さらにこの請求棄却に対し不服があれば即時抗告をすることが可能です。