連帯債務・連帯保証等における相対効と絶対効などを解説

連帯債務について

連帯債務ではそれぞれが別個独立の債権債務関係になる。
⇔ 法定で連帯債務の性質を持つのが不可分債務(賃借人が複数いる場合の賃料債務)

連帯債務では「相対効」が原則。つまり独立関係。
しかし、例外として6つの「絶対効」を定めている。

  • 請求の絶対効 – (債権者に有利)
    連帯債務者の1人に履行の請求をすることで全員につき消滅時効が中断される。
    しかし連帯債務者の1人が債務の承認をしても全員につき消滅時効の中断はされない
    時効利益の放棄にも相対効の原則があてはまる。道連れにならない。
  • 免除の絶対効
    1人に債務の免除をした場合、その者の負担額に応じて請求額が減る
    ABCにそれぞれ120万円請求できたとして、免除後はBCにそれぞれ80万円の請求ができるにとどまる。
    もしAの「負担部分」が80万円ならBCに40万円しか請求できなくなる。
    ※連帯債務者の負担部分は、あくまで内部関係の話で債権者は全員に全額の請求ができるが、免除した場合その影響を受ける。
  • 時効の絶対効
    1人のために時効が完成した場合、全員の消滅はしないが、その者についての負担部分が減額される。
    つまり、連帯債務者の1人につき免除されたときと同様の効果となる。
  • 相殺の絶対効
    ABCのうちAが債権者Xに対する債権を持っている場合、Aは当然相殺ができる。
    その後、AはBCに対して求償権を行使して回収することになる。
    他の連帯債務者BがAの反対債権で相殺することもできる。
    自分の負担額を限度に相殺してもらうことができる。
    120万円の連帯債務につき40万円分だけ相殺する。しかし自分だけゼロになるのではなく、免除や時効での減額のように、全体の額が80万円に減ることになる。
    結果、Aの反対債権は残り80万円、ABCは80万円を限度に連帯債務を負う状態になる。
  • 混同の絶対効
    混同は弁済とみなされる。つまり、債権者Xが連帯債務者Aに債権の譲渡をした場合、XA間の債権債務は混同により消滅する。そしてAのBCに対する求償権が発生するが、Aが免れた分は減額される
  • 更改の絶対効
    XA間で更改契約をすると、もとの債務は消滅する。
    そしてXのBCに対する求償権が発生するが、Aが免れた分は減額される

一部弁済の求償権

120万円の連帯債務でX→ABCの関係につき、Aが30万円の弁済をした。自己の負担部分にも満たないが、その弁済額についてBCに求償権が生まれる。つまりBCに10万円ずつ求償できる。

無資力者への求償

無資力者は保護され、残りの連帯債務者で分担することになる。つまり、Aが120万円の弁済をした場合、Bが無資力ならCに対して60万円の求償ができる(ABの負担部分は本来40万円)。

請求について他の連帯債務者への事前の通知

債権者から履行の請求を受けたとき、事前に他の連帯債務者に通知をする義務がある。

例えば、Aに反対債権があるにも関わらず、勝手にBが全額の弁済をした。義務違反のため、反対債権を持つAは求償に応じなくてもよいが、反対債権のA負担部分はBに譲渡しなければならない。反対債権という形で求償できたことになるが、BはXの無資力に対する危険を負うことになる。
→ 結果、AはXに80万円の反対債権、BはXに40万円の反対債権とCに40万円の求償権を得る。

※同様に、反対債権がないパターンでも、Bが勝手に弁済したあとAが弁済すると、不当利得による返還請求の責任を負うのはBとなる。

連帯債務者の死亡

連帯債務者Aが死亡しMとNが相続した。この場合、BCはそのまま120万円の連帯債務だが、MとNは分割された限度で、つまりそれぞれ60万円の連帯債務者となる。BCMNの連帯債務。

連帯の免除

「絶対的免除(全員に連帯の免除)」では、ABCそれぞれ40万円ずつの分割債務になり独立化。

「相対的免除(一部に連帯の免除)」では、連帯が残るABには120万円がそのまま残り、Cは40万円の分割債務となり独立化。

相対的免除の求償関係については民法445条に規定がある。Bが無資力の場合、AはC(分割債務者)に求償できるが、Cには40万円の負担しかないため20万円損する。そこでこの20万円についてはAがXに請求できるとしている。

保証債務について

保証債務は要式行為。つまり書面などでしなければ効力を生じない。
そして主たる債務に関する利息、損害賠償などすべてを含む。契約解除における原状回復義務も負う。

債権者Xと主たる債務者A、そして保証人のBという関係。
保証人Bに「催告の抗弁権(Aに請求しろ)」「検索の抗弁権(Aに強制執行しろ)」がある。
⇔ 連帯保証の場合は保証人にどちらも認められていない。
検索の抗弁権は保証人自身が債務者の資力と執行できることを証明しなければならない。

債権の譲渡

主たる債務者にした譲渡の通知は効力を発揮し譲受人は保証人に履行求められる。
通知を保証人にしても保証人にすら主張できない。何の法的効果もない。

債務の承認

主たる債務者Aが債務の承認をした。
→ 保証人Bの保証債務も時効が中断する。保証人は道連れくらう。
→ 主たる債務の時効が完成したら保証人も援用できる。良い意味で道連れ。
Aが消滅時効完成後に承認してもBは援用できる。

保証人が債務の承認をした。
→ 主たる債務に影響なし。

保証人による弁済

委託を受けない保証人が弁済した場合求償の範囲が異なる。
→ 利息まではもらえない。

弁済にあたり、保証人は、寄託の有無を問わず事前通知・事後通知の義務を負う。
⇔ 主たる債務者は、寄託した保証人にのみ、事後通知の義務を負う。

相殺

保証人は主たる債務者の反対債権で相殺ができる。しかし保証人が持つ反対債権を債務者が使うことはできない。

連帯保証について

連帯保証には、連帯債務の6つの絶対効が準用される。
しかし負担部分を前提とする相殺援用、免除、時効の絶対効には準用の余地がない。

< 時効の中断 >

連帯保証人が履行の請求をされると、主債務の時効は中断する(請求は絶対効)。
⇔ 連帯保証人が債務の承認をしても、主債務の時効は中断しない(承認は相対効)。