拘留とは
拘留は、勾留と同じく「こうりゅう」と読むが、
紛らわしいため勾留については「かぎこうりゅう」と呼び分けることもある。
刑罰の一つで、刑法第16条に規定が置かれている。
「拘留は、1日以上30日未満とし、刑事施設に拘置する。」
特徴をかんたんに挙げる。
- 刑罰である ⇔ 「勾留」は刑罰ではない
- 拘禁する ⇔ 懲役・禁錮も身体拘束がある
- 作業義務は科さない ⇔ 懲役には作業義務がある
- 期間は比較的短期 ⇔ 懲役・禁錮はもっと長い
拘留により拘禁されることになる期間は、1~29日間。
※短いが、執行猶予に付すことができないため必ず実刑となる。
懲役刑・禁錮刑との違い
まずは懲役との違いを見ていく。
主に2つ。
懲役刑では・・
- 刑務作業が必要
- 期間が長い
懲役刑は、刑務所で拘束を受けるだけでなく、刑務作業を行わなければならない。
その作業内容に応じて、報奨金も支給される。
※拘留でも、申出て作業をすることは可能。
また、懲役刑の期間は最低でも1ヶ月。最大で20年である。
→ ただし死刑や無期懲役を軽減した結果、30年の懲役になることも起こり得る。
次に禁錮刑を見ていく。
禁錮は拘留と同じく作業義務が科されない点で共通する。
しかし期間に関しては懲役と同じ設定がされており、1ヶ月~20年の収容があり得る。
拘留が法定されている犯罪
拘留は比較的軽い刑罰であるため、拘留が法定刑として定められている犯罪も軽いものが多い。
- 侮辱罪
事実を摘示せず、公然と人を侮辱すると該当。
法定刑は拘留または科料。罰金刑もないのが特徴。 - 公然わいせつ罪
公然と、わいせつな行為をすると該当。
不特定または多数人が認識できる状態でなければならない。
軽い犯罪類型に属するが、抽象的危険犯であるため、現実にわいせつな行為を認識できていなくても処罰し得る。
法定刑は「6か月以下の懲役」「30万円以下の罰金」「拘留」「科料」とパターンが豊富。 - 暴行罪
人の身体に有形力を行使したときの罪。
怪我をさせると傷害罪になる。
法定刑は「2年以下の懲役」「30万円以下の罰金」「拘留」「科料」とバリエーションは公然わいせつと同じであるが、やや重い罪に当たる。
まとめ
マイナーな刑罰であるが、
勾留と勘違いしないようにすること、
禁錮や懲役との違いを覚えておくことが大切。
なお、侮辱や暴行など刑法に規定されていることに限らず、軽犯罪法違反や民事訴訟法の193条違反によっても拘留が科せられ得る。
実際のところ拘留が言い渡されるケースはレアであると言えるが、最低限の知識は入れておくと良い。