未成年の刑事手続まとめ!少年法による刑の軽減や少年審判など

少年法について

<総則>

目的

第1条「この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」

定義

第2条「この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。」
2「この法律で「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者をいう。」

少年法では、20歳未満の少年について、健全な育成を目的として、犯罪行為などの非行をした場合に、特別な取扱いをすることとしている。

少年事件の特徴まとめ

少年の刑事事件は、すべてまず家庭裁判所に送致される。家裁の調査の結果、刑事処分が相当であると判断し、検察官に送致(逆送・20条決定とも)しこれを検察官が公訴提起しなければ、少年が刑事訴訟手続に組み入れられることはない。

→ 少年審判による保護処分

結局、検察官が少年を被告人として起訴できるのは家庭裁判所から刑事処分を相当として送致を受けた事件だけ。

→ これに反してなされた公訴提起は、刑事訴訟法338条4号「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。」に当たるため、公訴棄却判決がなされる。

なお、2000年の法改正により、従来16歳以上に限定されていた刑事処分可能年齢の制限が撤廃されたため、犯行時14歳以上(刑事責任年齢)の少年であれば、逆送決定を行うことが可能になった。

また故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件で、犯行の時16歳以上の少年については、逆送決定を行うことが原則とされた。

もっとも、家裁が調査の結果、犯行の動機および態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状および環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、逆送決定を行わず、保護処分に付することもできるとされている。

少年事件の手続

少年の犯罪を認知した司法警察員(警察、司法警察職員のうち上級のほう。司法警察員(巡査部長以上)と司法巡査(巡査と巡査長))は、捜査を遂げたうえ、事件を検察官に送致する。ただし罰金以下の刑にあたる軽微事件については検察官を経由せず、直接家庭裁判所に送致する。

検察官は補充捜査をしてさらに家庭裁判所に送致するが、このとき検察官は、非行なしと思料する場合以外、すべて家庭裁判所に送致しなければならない。これを「全件送致主義」という。

→ 成人であれば起訴猶予相当であっても家裁に送致。

→ 犯罪当時少年のものでも、すでに成人となった被疑者については、この特則は適用されない。

その逆に、逆送を受けたときには、基本的にすべて地方裁判所または簡易裁判所に公訴を提起しなければならない。これを「起訴強制主義」という。成人の刑事事件における検察官起訴専権主義・起訴裁量主義の例外。

家裁は調査の結果、刑事処分を相当と認めるときに逆送決定をする。

逆送されると検察官は再度証拠を検討し、事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がない、または新たな情状または送致後の情状を発見して訴追を相当でないと思料するときなら起訴は強制されない。

実情

上の例においては、家裁の事前審査を経ているため、検察官が新たに発見することはきわめて少ない。

家裁に送致された犯行時14歳以上の少年のうち逆送決定を受けるのは2.9%。そのうち大部分は略式命令請求される交通事犯。一般事件では1%に満たない。

捜査段階の特則

通常の捜査そのものについては少年にも刑訴法が全面的に適用される。

ただし少年の情操に対する影響が大きい勾留については特則がある。

検察官は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあっても、留置施設や拘置所に収用する勾留については、やむを得ない場合(例えば少年鑑別所の定員超過等)でなければ請求できない。ただ、これに代えて少年鑑別所に収容する観護措置(裁判官の発する観護令状による)を請求することは可能。

→ 捜査のために身体拘束が必要とされるときでも、成人の被疑者との接触を避けることで、少年の情操に配慮している。

→ 勾留する場合でも刑事施設ではなく少年鑑別所に拘禁することができる。

この監護措置は、勾留に代わるものであるため、刑訴法60条1項各号の要件(定まった住居・証拠隠滅・逃亡のいずれか)が必要。勾留質問など成人と同じ手続が採られる。

しかしながら期間は10日間と定められており、延長は認められない。

つまり検察官は10日以内に家裁に送致するか否か決めなければならない。

なお、やむを得ない事由により勾留する場合、刑訴法の定めによる勾留延長は可能。

家裁に送致されると、勾留に代わる措置はそのまま家裁が審判の必要のために認めた観護措置とみなされ、最長8週間少年鑑別所に収容される。

逆送が決定し、検察官に事件が身柄付きのまま送致されると、その拘束は送致の日から公訴提起に向けての身体拘束として、刑訴法上の勾留とみなされる。

少年審判について

少年審判は「非行少年の教育的保護を目的として、家庭裁判所で行われる手続」のこと。

刑事手続の1種ではあるが、刑事事件とは呼ばず、保護事件と呼ばれる。

この少年審判に付すべき少年を非行少年と言う。非行少年については以下。

  • 犯罪を犯した少年
  • 触法少年:14歳未満で刑罰法令に触れる行為をしたもの
  • 虞犯少年(ぐはん):性格、環境から見て犯罪に走る恐れのある少年

触法少年と12歳未満の虞犯少年については、児童福祉法による措置が優先される。

そのため、都道府県知事か児童相談所長からの送致が少年審判に付する条件となる。

 

審判に付すべき少年を発見した者は、家庭裁判所に通告しなければならない。

通告や送致などにより審判に付すべき少年を受けた家庭裁判所は、調査を行う。

 

家庭裁判所は少年審判に関して、主に以下の権限を持つ。

  • 少年又は保護者に対して、呼出し状または同行状を発すること。
  • 少年を少年鑑別所に送致して観護措置をとること

また、刑事事件における弁護人と同じように、弁護士を「付添人」として選任することができる。

<審判手続き>

少年審判手続きは、家庭裁判所の単独裁判官が主催する。

検察官はいない。

そのため一般的な刑事事件のような三面的訴訟構成とはならず、公開もされない。

そして保護処分は刑罰でもない。

試験観察という制度もある。これは処分決定のために、少年を家庭裁判所調査官に観察させる制度。

<終局決定>

審判の結果、非行事実の存在と保護処分の必要がある場合、次の決定をする。

終局決定

・保護観察所の保護観察にする

・少年院または児童自立支援施設に送致

なお、平成19年の少年法改正で、少年院に収容できる年齢の下限は14歳から、おおむね12歳に引き下げられている。

また非行事実が死刑や懲役、禁固にあたる犯罪の場合で、保護処分ではなく刑罰を科す必要がある場合には、検察官に事件を送致する。

=「逆送」

<保護処分の決定に対する救済手段>

  • 少年、法定代理人、付添人から、②法令違反、重大な事実誤認、処分の著しい不当を理由として、③2週間以内に④高等裁判所に抗告することが可能。
  • 抗告棄却の決定に対しては、憲法・判例違反を理由に、最高裁判所に再抗告を申し立てることができる。
  • 保護処分取消の制度もある。これは刑事事件における再審と似たもの。いったん保護処分が確定しても、処分継続中に、処分が不適切であることが判明した場合、保護処分を取り消す決定をする。

公判手続の特則

公判手続においても情操に配慮がされる。

被告事件はできる限り関連成人事件と分離して審理し、その審理方針も懇切を旨とし、事案の真相を明らかにするため家裁の取り調べた証拠を努めて取り調べなければならない。

また、刑事裁判所で審理して、少年を保護処分に付するのが相当であると認めたときは、再び家裁に事件を移送しなければならない。

刑事処分

すでに保護処分を受けていることが判明したとき、一事不再理の効力により、審判を経た事件について刑事訴追をすることはできない。

少年に対し罪を認定し刑事処分が相当であるとする場合には、次のような大きな特色がある。

刑の軽減

犯行時に18歳未満の少年に対しては死刑に処することができない。死刑相当の場合には無期刑を科す。

また無期刑相当の場合には、裁判所の裁量で10年以上20年以下の懲役または禁錮に処することが可能。

不定期刑

成人にはない不定期刑の定めがある。

有期の懲役・禁錮が処断刑となるすべての場合に、長期と短期を定めた不定期刑が科される。

例えば、「懲役1年以上3年以下に処する」というように宣告される。

不定期刑の長期は15年、短期は10年を超えることはできない。

ただし刑の執行を猶予する場合には定期刑が科される。なお長期と短期を定めるにあたっては、長期の2分の1を下回らない範囲において短期を定める。

→ 長期が10年なら5年以上。ただし長期が10年未満なら、長期から5年を減じた期間となる。つまり8年なら4年以上にしなければならないのではなく、3年を下回らないようにする。

さらに特則として短期について、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の2分の1を下回らず、かつ、長期の2分の1を下回らない範囲内において、これを定めることができる。

→ つまり刑法にある法定刑の下限を下回れる特則。

刑の執行

懲役・禁錮刑の言い渡しを受けた少年については、少年刑務所または一般の刑務所の場合でも特に分界を設けた場所でその刑を執行する。さらに16歳未満の少年については、16歳に達するまでの間、刑務所ではなく少年院に収容したうえで、作業を行わせるのに代えて、矯正教育を受けることができるとされている。

→ 少年刑務所は少年院とは異なる。少年刑務所は16歳以上が入り、主に刑罰を与えることが目的。

また仮釈放も早期になされるよう定められている。ただし死刑を緩和して無期刑に科されているのであればこの特則は適用されない。

付随処分

未決勾留(逮捕されて判決が確定するまで刑事施設に勾留されている状態)については、前述の3種の監護措置がすべて未決勾留とみなされ、未決勾留日数の算入の対象となる。

→ 未決勾留日数がカウントされると、カウントされた日数分だけ刑が執行されたものとみなされる。結果的に刑務所を出る時期が早まることになる。少年でも懲役は科され得る。ただし年齢による。13歳までは不可罰。14歳~17才は緩和。18・19歳は緩和措置なし。

また少年に罰金または科料の刑を言い渡した場合にも、成人と異なり労役場留置の言い渡しができない。