【民法改正】連帯保証の相対効・絶対効まとめ!履行の請求や承認など


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連帯保証人に生じた事由が、主債務者に影響するかどうかの問題がある。
相対効であれば主たる債務者へ影響しない
絶対効であれば主たる債務者へ影響する

下表が、連帯保証人に生じた事由の相対効・絶対効をまとめた表である。

改正前改正後
履行の請求絶対効相対効変更!
免除絶対効相対効変更!
時効の完成絶対効相対効変更!
相殺絶対効絶対効
混同絶対効絶対効
更改絶対効絶対効

以下では、この連帯保証人に生じた事由と主債務者への影響、特に民法改正によって変わったところを解説していく。

またこれとは逆に、主債務者に生じた事由の連帯保証人への影響も比較する。

連帯保証の絶対効(更改・相殺・混同)

連帯保証には、連帯債務の6つの絶対効が準用される(民法458条)。

  • 438条  :更改の絶対効
  • 439条1項 :相殺の絶対効
  • 440条  :混同の絶対効
  • 441条  :相対効の原則

(連帯保証人について生じた事由の効力)
第458条「第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。」

 

よって、連帯保証人に生じた事由は原則として相対効、つまり主債務者へは影響しない
ただし連帯債務においても絶対効の規定が置かれている「更改」「相殺」「混同」の3パターンでは、主債務者へ影響が及び、主債務は消滅する。

※なおいずれの場合も、主債務が消滅したなら連帯保証人が主たる債務者へ求償できる

更改

(連帯保証人に生じた更改)
主債務者に及ぶ = 絶対効

債権者Xが連帯保証人Aと更改の契約をした。
更改は連帯保証人Aに生じた事由であるが絶対効の規定が準用されるため、主債務者Bに及ぶ。
つまり更改の契約により、Xは債務消滅の合意をしたものと評価され、主債務は消滅。
Aは新たな債務を負うことになるが、Bへの求償は可能。

相殺

(連帯保証人がした相殺)
主債務者に及ぶ = 絶対効

連帯保証人Aは、債権者Xに対する反対債権を持って相殺した。
相殺は絶対効を持つため、主債務者Bにもその効果が及び、主債務は消滅する。
そしてAはBに対して求償が可能になる。

混同

(連帯保証人に生じた混同)
主債務者に及ぶ = 絶対効

連帯債務者Aが、債権者Xを単独相続した。
Aは混同により弁済をしたものとみなされ、主債務者Bも絶対効の規定の準用によりその効果が及ぶ。つまり主債務は消滅する。
ただしAはBに対して求償できる。

連帯保証の相対効(履行の請求・免除・時効の完成)

連帯保証人に生じた「履行の請求」「免除」「時効の完成」が、民法改正の影響を受け、相対効になっている。
実質的なルールの変化が大きいのは「履行の請求」であり、特に確認しておく必要がある。

連帯保証人に「履行の請求」をしても主債務者には影響なし

(連帯保証人に対してした履行の請求)
主債務者に及ばない = 相対効

民法改正以前は、債権者が連帯保証人に対して履行の請求をしたとき、その効果は主債務者へ及ぶものとされていた(絶対効)。
しかし請求に絶対効を持たせることは、主たる債務者に不測の損害を与える可能性があるとしてルールが改正された。そのため連帯保証人への請求は相対効しか有さず、主債務者に影響しない
(具体的には、主債務の時効の完成を防がれなくなる)

連帯債務においても同様に、連帯債務者の一人に対してした「履行の請求」の効力は、絶対効から相対効へと改正されている。詳しくはこちらのページ

【民法改正】連帯債務の相対効と絶対効まとめ
連帯債務者の1人に生じた事由は、原則として「相対効」を有する。しかし、相殺・混同・更改に関しては例外的に「絶対効」が認められる。また近年の民法改正によって請求・免除・時効は相対効へ変わっている。このページではこれら連帯債務に関する効力について解説する。

「免除」や「時効の完成」も民法改正の影響受けて相対効へ

(連帯保証人に対してした免除)
(連帯保証人に生じた時効の完成)
主債務者に及ばない = 相対効

免除の例)
債権者が連帯保証人に対してした債務の免除は相対効しか持たない。そのため、主債務者がその債務から免れることはない。

時効の完成の例)
連帯保証人の保証債務に関する時効の完成は相対効しか持たない。つまり主債務者の債務が時効によって消滅するわけではない。

時効の援用について
連帯保証債務の時効が完成すると、当然、連帯保証人自身は時効を援用してその債務を免れることが可能。
逆に主債務の時効の援用に関してはどうか
主債務が消滅すると保証債務の付従性によって連帯保証債務も消滅するため、連帯保証人は直接利益を受ける者と言える。そして「時効の援用によって直接利益を受ける者」は、消滅時効を援用することができるとされているため、連帯保証人は、主債務の時効の援用も可能である。

主債務者に生じた事由の相対効・絶対効

下表は、上記説明とは逆に、主債務者に生じた事由が連帯保証人に及ぶかどうかを表したものである。

 主債務者に生じた事由効力
履行の請求

付従性により「絶対効
※時効の利益の放棄は影響しない(相対効

免除
時効の完成
相殺
混同
更改

主債務と保証債務における付従性から、主債務に関して生じた事由は原則として保証債務にも及ぶ。そのため主債務者に対する履行の請求は、連帯保証人に対する消滅時効の完成の障害にもなる。

債務の承認による効果の比較

連帯保証人がする債務の承認債務の一部弁済は、主債務に影響しないため、主債務の時効の更新は起こらない。

一方で、主たる債務者のした承認は連帯保証人に影響する(絶対効)
一部弁済に関しても債務の存在を認めることと同義であるため、債務の承認にあたり、時効が更新される。

※ただし、主たる債務者が「時効利益の放棄」をしても連帯保証人は保証債務の時効の完成を主張できる


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練習問題

難易度「易」の例題3問で理解度チェック!

1.連帯保証人に生じた事由は原則として主債務者に及ばない
2.連帯保証人に対してされた「履行の請求」は、相対効しか持たない
3.連帯保証人の保証債務につき時効が完成すると、主債務も消滅する
難易度「易」_全5問難易度「並」_全6問
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