会社法とは
会社法とは「会社に関する、経済主体の利益を調整するための法律」です。
商法は個人や共同企業に関するルールを定めた法律ですが、
会社法では共同企業のうち、会社にだけ着目しています。
会社とは
会社とは共同企業形態の1つです。
個人企業と比べると、リスクや負担の分散ができることや、資本や労力の結集とそれに伴う大規模事業の展開ができるという特徴を持ちます。
企業とは「継続的に経済活動を行い、利潤を追求するもの」のことです。企業の中に個人企業・共同企業が含まれます。
企業の種類
私企業 | 営利企業 | 個人企業 | ||
共同企業 | 会社 | 株式会社 | ||
合同会社 | ||||
合資会社 | ||||
合名会社 | ||||
組合 | 民法上の組合 | |||
非営利企業 | 相互会社 | |||
協同組合 | ||||
公企業 | 国営企業等 |
他の法律との関係
会社法では、会社に関する組織や人との利害調整を図りますが、会社と従業員との関係については「労働法」で規律がなされています。
このほか、会社に関することでも特定の範囲では「独占禁止法」や「銀行法」、「保険業法」などが優先的に適用されるようになります。
なお、会社法でカバーしきれない範囲はすべて民法が適用されます。例えば会社への貸付としてお金を貸す場合、民法の消費貸借の規定が適用されます。
会社の特徴
会社は、
- 社団性
- 法人性
- 営利性
という大きな3つの特徴を持ちます。
社団性
社団では、構成員が団体と社員関係により結合する特徴を持ちます。よく比較されるのは「組合」です。
組合では構成員が契約関係により結合するため社団に比べて構成員個人の特色が団体の強く影響されます。一方社団では構成員の個性は希薄になります。
< 社団と組合の違い >
社団の特徴
- 団体の財産は団体そのものが所有
- 構成員の権利義務は社員の地位に含まれ、構成員は観念的な存在となる
組合の特徴
- 構成員は団体を合有する
- 構成員の権利義務は、他の構成員に対する権利義務となる
- 団体に対し物権的な持分を有する
法人性
法人とは自然人ではないものの、権利義務の主体となることのできる組織を言います。
この法人格のない社団は「権利能力なき社団」と呼びます。
法人であれば民事訴訟における原告・被告になることもできます。
また法人財産へ強制執行しようとする者は、法人を名指しした債務名義が必要になります。
営利性
会社は営利企業に属するため、利益を追求します。公益を図るのが目的ではありません。
会社のする事業を通して得た利益を、その構成員に分配します。
株式会社について
株式会社とは「株式という細分化された割合的単位で社員の地位ができている会社」を言います。この社員とは従業員ではなく株主のことです。
社員は会社に対し株式の引受価額を限度とした出資義務は負いますが、会社債権者に対しては責任を負いません。そのため株主は「間接有限責任」を負うと表現されます。
持分会社について
持分会社には「合同会社」「合資会社」「合名会社」が含まれます。
以前には「有限会社」も存在していましたが、現代では有限会社の新設はできなくなっています。
合同会社は比較的新しい会社形態で、社員の責任については株式会社と似た性質を持ちます。出資額を限度とした間接有限責任です。
ただし会社内部の組織に関しては民法上の組合と同じルールが適用されます。そのため株式会社より社員個人の性質が反映されやすくなります。
合資会社は「無限責任社員」と「有限責任社員」の両方で構成されている会社形態です。
合名会社は会社債権者に対し「直接無限責任」を負います。社員はそれぞれに業務を執行する権利および義務を持ち、代表権限も有しています。重要事項については社員の全員で意見を一致させる必要があり、少人数の会社で採用されていることが多いです。