行政権と内閣の関係
行政権とは、
「すべての国家作用から立法権と司法権を除いた残りのすべて」
であるとされる。
司法権や立法権に比べてその範疇が非常に広いのが特徴。
本来、司法権・立法権とはけん制し合う関係であることが原則であるが、行政府の役割は法律を執行することにあるため、具体的な政策については行政が担うことも多い。
その結果、行政府のカバーする範囲の広さも相まって、国家の中心的役割を果たすようになっているのが現状。
この現象を「行政国家現象」と言う。
なお、内閣とは「行政権の主体」のことを言う。
内閣の組織
内閣は、「内閣総理大臣」と「国務大臣」で組織される合議体。
合議体とは、「複数人が議論して意思決定をする組織」のこと。
内閣の構成には要件がある。
- 文民であること
- 国務大臣の過半数は国会議員であること
「文民」の定義に関しては様々な説がある。
「今まさに軍人でない者を文民と言う説」「過去に軍人でなかった者を文民と言う説」「その両方において軍人でなかった者を文民と言う説」など。
「今まさに軍人でない者を文民と言う説」「過去に軍人でなかった者を文民と言う説」「その両方において軍人でなかった者を文民と言う説」など。
内閣総理大臣について
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名、天皇が任命する。
「天皇の任命」は形式的なものであり、実質的には国会の指名が任命としての意味を持つ。
内閣が総辞職するケース
内閣は、ある一定条件が満たされると総辞職しないといけない。
以下が総辞職するケース。
- 衆議院が内閣不信任決議を可決し、10日以内に衆議院が解散されない場合:69条
- 衆議院が信任決議を否決し、10日以内に衆議院が解散されない場合:69条
- 衆議院議員総選挙後に初めて国会が召集されたとき:70条
- 内閣総理大臣が欠けた場合:70条
1,2はほぼ同義。
衆議院が内閣を信任しないパターン。
3については、総選挙で国会のメンバーが変わってしまうことで信任の根拠がなくなることから総辞職が求められる。
4は、内閣総理大臣が死んだり辞職したりした場合に該当。
なお、内閣は自ら積極的に総辞職することも可能。
内閣の権能
- 法律の誠実な執行と国務の総理
- 官吏に関する事務
- 一般の行政事務
→ 1,2,3は行政的な権能 - 予算の作成と国会への提出
- 予備費の支出
- 決算審査・財務状況の報告
→ 4,5,6は予算に関する事項 - 最高裁判所長官の任命
- その他裁判官の任命
- 恩赦の決定
→ 7,8,9は司法権への対抗的な権能 - 政令の制定
→ 立法権への対抗的な権能 - 外交関係の処理
- 条約の締結
→ 11,12は外交関係についての権能 - 国会の臨時会の召集
- 天皇の国事行為に対する助言・承認
<10.の政令について>
政令は、内閣の定める命令のこと。
命令とは、行政機関の制定する法形式のルールのこと。
→ 命令の最上位に位置するのが政令。
政令は、内閣の定める命令のこと。
命令とは、行政機関の制定する法形式のルールのこと。
→ 命令の最上位に位置するのが政令。
内閣総理大臣の権能
内閣の権能については上の通り。
内閣の構成要素である内閣総理大臣の権能については、下のように憲法で定められている。
- 国務大臣の任命:68条
- 行政各部の指揮監督:72条
- 内閣を代表して議案を国会に提出する:72条
- 一般国務・外交関係を国会へ報告:72条
- 法律・政令への連署:74条
- 閣議の主宰:内閣法4条