【入門-行政作用】行政立法・行政計画・行政指導などを解説

行政立法

行政立法には大きく「法規命令」と「行政規則」とがあります。

  • 法規命令:国民の権利義務に関わる
  • 行政規則:行政内部の基準にとどまる

平成17年の行政手続法改正では「命令策定手続」が導入され、「命令等」を定める場合の意見公募手続が要求されるようになりました。

< 命令等とは >

定めるにあたり意見公募手続を要する、命令等は以下のことを言います。

  1. 法律に基づく規則または命令(処分の要件を定める告示を含む)
  2. 審査基準
  3. 処分基準
  4. 行政指導指針

2,3,4は行政規則です。
しかし外部的効果が予定されるため、その策定については法規命令と同一の手続きが要請されます。

※命令とは?

  • 内閣の制定する政令
  • 内閣総理大臣による内閣府令
  • 主任大臣による省令
  • 外局の委員会および庁、独立機関による規則
  • 普通地方公共団体の長による規則

法規命令について

執行命令:どのようにすでにある法律を執行するのか定める。

  • 長による規則で執行命令を定めることも可能。
  • 許可要件は法律で定め、その許可申請の詳細を定めるなど。
    〇〇法施行規則などが執行命令の典型例。
  • 新たに国民を規制するわけではないため法律による具体的な委任は不要

委任命令:法律の委任に基づく規範。

罰則を設けることもできるがその場合個別具体的な委任が必要

法律では基本的な事項を定めるにとどめ、詳細は行政機関の委任命令に任していることが多い。

―白紙委任の問題―

白紙委任(「〇〇について、すべて政令の定めることによる。」などと法律で定めて丸投げすること)はアウトです。
しかし、法律において、命令で定めるべき事項を列挙するなど、委任事項を個別的・具体的に定める場合には許されます。そして下位の命令に再委任することも許されるとしています。

行政規則について

―行政規則の種類―

  • 解釈基準
  • 裁量基準
  • 行政指導指針
  • 給付基準

< 解釈基準 >

下級機関は上級機関が制定した解釈基準に拘束されます。

判例:在外被爆者につき健康管理手当等の受給権を失権扱いとした通達を違法とし、
この通達に関わった担当者の行為について、国家賠償法の適用上違法で過失も明らかとした。

< 裁量基準 >

審査基準処分基準がこれにあたります。

定めた基準に絶対的に従い機械的に判断するというのは裁量基準の趣旨にそぐわない。
→ 合理的な理由があれば、あらかじめ定められた裁量基準と異なる個別判断も許容される

―行政規則の処分性―

行政規則は法律の根拠なく自由に定められ、これに違反しても法律違反ではなく裁判所で争うのが困難という特徴を持ちます。

判例:通達は法規の性質を持たず、裁判所は法令の解釈適用にあたって通達に示された解釈とは異なる独自の解釈ができるとした。通達の法源性を否定。

一定要件の下で通達の処分性を認め、裁判的救済を受ける余地があるとした判決もあります。
仮に処分性を認めてもらい抗告訴訟することができなくても、通達について当事者訴訟で争うことは可能です。

行政契約

行政契約でも契約自由の原則はそのまま妥当するものではなく、
また相手方の合意があっても、契約で罰則を設けることは許されないと考えられています。

一方、産業廃棄物処理業者に処分場の使用期限を定めた条項につき、
事業者の自由な判断余地があることなどから、法令にない内容の規制を有効にした例もあります。

< 事務の委託 >

行政の事務でも委託などの契約方式を用いて第三者に委ねることができます。

地方自治法にある「事務の委託」は民法上の委託とは異なり、受託者に権限が移るため法律の根拠が必要です。
→ 隣接する地方公共団体で学校教育が受けられるよう、事務の委託を認めた例があります。

< 民間委託 >

民間委託をする場合、権力的業務を委託できるのかが問題になります。

実際、指定管理者制度連携協約事務の代替執行の制度の導入が進んでいます。

民間委託の例としては駐車違反対応業務があります。
なお、駐車違反対応業務として、放置車両の確認と標章の取付けをしたことは事実行為であり公権力の行使ではないとされています。

行政指導

行政指導とは「行政機関が所掌事務の範囲内において、一定の行政目的を実現するため、特定の物に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言、その他の行為であって、処分に該当しないもの」を言います。

  • 行政指導に法律の根拠は不要
  • 行政指導は特定人に向けられていること
  • 行政指導は任意であること

※合意を前提にした行政形式であり、事実行為です。
※法律による直接の根拠は不要ですが、範囲を限定する必要があるため組織法上の根拠は必要になります
地方公共団体のする行政指導行政手続法の適用外

個別法に行政指導が規定されているものもあります。

例1)生活保護法では、被保護者に指導または指示ができる。

例2)大規模小売店舗立地法では、都道府県が必要な措置を勧告でき、従わなければ公表もできる。

< 行政指導の類型 >

  1. 申請に関連する行政指導
    → 申請者が行政指導に従う意思がない旨を表明した以上は、行政指導を継続してはならない
    → 申請について到達主義を採用し、行政庁は遅滞なく審査を開始しなければならない
  2. 許認可等の権限に関連する行政指導
    → 「権限を行使し得る旨を殊更に示す」ことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせてはいけない。行政機関に権限があることを背景に、事実上相手方に諾否の自由がないケース。
  3. 複数の者を対象とする行政指導

< 行政指導への規制 >

  • 任意であること
  • 従う意思のない者への行政指導の継続禁止
  • 従うことを余儀なくしてはいけない
  • 行政指導に携わる者は、相手方に行政指導の趣旨・内容・責任者を明確に示す必要がある
  • 行政指導に携わる者は、要求にされれば、行政指導の趣旨・内容・責任者および権限行使の根拠となる法令の条項等を記載した書面を交付しなければならない
  • 複数の者を対象に行う場合、行政指導指針を定め、特別の支障がない限り公表しなければならない

※行政指導指針は行政手続法上の「命令等」にあたり、意見公募手続が必要
※行政指導が要件を満たさないと思料するとき、中止その他必要な措置を求めることができる。
⇔ 逆に、処分または行政指導を求めることもできる。

< 行政指導に対する訴訟 >

基本的に、損害賠償訴訟を求めても、その任意性から行政指導と損害の因果関係が否定されやすいです。

また行政指導には処分性がなく、抗告訴訟で争うのは困難です。
ただし具体的な紛争状況によっては当事者訴訟で、指導に従う義務がないこと等について確認訴訟を提起することも考えられます。処分性が認められ抗告訴訟で争うことができるケースもあります。

判例:検疫所長による食品衛生法違反の通知について、通知が関税法上の輸入許可が得られなくなるという「法的効力」を有するとして処分性を肯定した例があります。

判例:医療法に基づく勧告についても、実質従わなければ保険医療機関の指定を受けることができなくなり病院の開設を断念せざるを得ないとして処分性を肯定しています。

建築確認留保の問題

建築主事は、建築確認の申請を「受理」してから一定期間以内に審査・確認しなければなりません(建築基準法)。
しかし実務においては建築確認を留保した上で行政指導を行っていることもあります。
つまろ建築確認が人質のようになっているのです。
このことに関連し、下の判例があります。

判例:行政指導に従わないことを示しにもかかわらず確認処分の留保がなされた。その後確認処分はされたが、法定期間を超えた処分の留保につき違法であるとして国家賠償請求をした例です。
最高裁は社会通念上合理的と認められるなら確認留保も違法でないとしたものの、不服従の意思を表明していれば公益上の必要性と比較衡量し、この不服従が社会通念上正義の観念に反するものでなければ確認処分を留保するのを違法と判断しています。

 = 行政指導に明確に拒絶してからの留保は公益を考慮しつつ違法かどうか判断

行政計画

行政計画には原則処分性が認められず、取消訴訟の対象となりません。

行政計画に法律の根拠が必要かどうかについては個別に判断されます。
例えば、都市計画には法律の根拠が必要です。
一方で、事実行為にとどまる場合には不要とされます。

また行政計画策定をする行政庁には広い裁量が認められ、行政手続法による意見公募手続の対象にはなりません。

  • 判例1:土地区画整理事業の事業計画の決定 → 処分性肯定
  • 判例2:都市計画の用途地域にかかる工業地域を指定する決定 → 処分性否定
    (当該地域内の不特定多数の者に対する一般的抽象的なそれにすぎないとした)
  • 判例3:都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計画決定・公告 → 処分性肯定
    (土地収用法上の事業認定と同一の法律効果が生じるとした)
  • 判例4:土地区画整理組合の設立認可 → 処分性肯定
  • 判例5:市町村営の土地改良事業に係る事業施行認可 → 処分性肯定

※重大な事実の誤認の有無のほか、判断の過程における妥当性にも裁判所の審査が及びます。

行政調査

< 任意調査 >

任意調査には法律の根拠不要です。

例1:承諾なくポケットに手を入れて注射針等を取り出す行為はプライバシー侵害の程度が強く違法と判断。

例2:犯人として濃厚な容疑があり、緊急性・必要性が高い状況下においての所持品検査を適法とした。

例3:車を停止させて行う取調べにつき、この調査を受けるのは自動車を利用するための当然の負担とし、合理的に必要な限度であれば協力すべきとした。しかし相手方の承諾が前提で、強制的に停止させて質問することは許されない。

< 強制調査 >

強制調査では法律の根拠が必要です。

  • 実力行使を伴う強制調査:裁判所の許可状が必要。租税犯則事件などが例。
  • 罰則によって担保される強制調査:刑罰の規定を設けて間接的に強制する。間接強制調査。
  • 罰則以外のペナルティを設ける:生活保護法の決定に係る調査などが例。

< 行政調査手続 >

行政調査手続きについて一般的に規律する法律はなく、この分野は行政手続法でも適用除外となっています。立入検査のような事実行為は不利益処分の概念に含まれず、行政手続法の一般的諸規定の適用にはなじまないのです。

そのため、行政調査は個別法の規定に委ねられます

なお強制調査については、憲法の手続保障に配慮が必要です。

―令状主義・供述拒否権の適用の可否―
行政調査が刑事目的でない、というだけで憲法35条(令状主義)保障の外にあるとは言えない。
→ 国税犯則事件に対する行政調査は犯罪捜査と連動するため令状主義が適用
⇔ 税務調査については事前に裁判官の許可は必要ない
―行政調査と犯罪調査―
行政調査を犯罪捜査のために利用して情報収集をするのは脱法行為として許されない。
⇔ 犯則調査によって得た資料をもとに課税処分等を行うことは許される
憲法35条の趣旨や行政手続への適用、その判断基準などを解説
憲法35条では、刑事手続に関して、住居への侵入や捜索押収等に関して令状を要する規定が置かれている。しかし行政手続においても同条の適用を受けるのかという問題がある。このページではこの問題に関して言及する。