動産質・不動産質・債権質を表にまとめてみた

ここでは質権について簡単にまとめています。

動産質・不動産質・債権質の違いを整理してみました。

動産質・不動産質・債権質を比較

動産質不動産質債権質
対抗要件占有登記通知または承諾
引渡しの要否必要必要証書があればソレ
侵奪されたら占有回収の訴え物権的返還請求
担保の範囲利息も元本のみ利息も
使用収益不可可能
優先弁済の力あるあるある
質権のタイムリミットなしMAX10年なし
留置可否

原則、
質権は債権者に目的物を引き渡すことで、その効力を発揮します(344条)。

また、
質権者は質権設定者に質物の占有をさせながら、質権を保持することはできません(345条)。

動産質をもう少し

動産質※補足
対抗要件占有占有改定以外の引き渡しでOK。指図のやつも。
引渡しの要否必要344条にある質権の原則通り。
侵奪されたら占有回収の訴え目的物の物権的返還請求権を主張することはできない。
担保の範囲利息も
使用収益不可ただし保存のために必要な範囲で認められる。※
優先弁済の力あり
質権のタイムリミットなし
留置可否あり

※動産質については、基本的に使用収益が認められていません。目的物を保存するのに必要な範囲でのみ許されますが、これを超える使用収益をするには債務者の承諾が必要です。

承諾なく使用収益しているのがバレると、
質権設定者から質権の消滅請求をされるかもしれません。

逆に、動産質でも債務者の承諾があれば賃貸することが可能ということになります。

不動産質をもう少し

不動産質※補足
対抗要件登記お約束。
引渡しの要否必要対抗要件は登記だが、最初に引渡しがなければ効果なし。
侵奪されたら物権的返還請求動産とは異なる。
担保の範囲元本のみ利息は担保されない。
使用収益可能使用収益ができるからこそ利息までは担保されない。
優先弁済の力あり
質権のタイムリミットMAX10年
留置可否あり

第三者に対して不動産質を対抗するには、いつもながら登記が必要です。
ただし、登記は不動産質の成立の要件ではなく
あくまで不動産質を成立させるのは目的物の引渡しです。
これも質権の原則通りです。

そしてもう一つ重要なこと。

不動産質は動産質と違って使用収益が認められており、これを賃貸するのにわざわざ債務者の承諾を必要としません。果実収取権もあり、そこから優先弁済を受けることができる一方、費用については質権者が負担し、利息までは担保されなくなります。

債権質をもう少し

債権質※補足
対抗要件通知または承諾二重譲渡されたときと同じ要件。
引渡しの要否証書があればソレ証書の交付を要するケースではこれが成立要件。
侵奪されたら対抗要件を具備していれば問題なし。
担保の範囲利息も
使用収益
優先弁済の力あり直接の取立ても可能。
質権のタイムリミットなし
留置可否あり

債権質は原則合意のみで成立します。しかし債権の譲渡に証書の交付を要する場合、その交付がなければ質権が成立しません。

債務者への通知および承諾はあくまで第三者への対抗要件です。

また、債権質の場合質権者が自己の名で直接債務者に履行を請求できるという特典があります。

その他覚えておきたいこと

転質はOKだが..

すでに質権の目的物となっている物を対象に、質権を設定することは認められています。特に債務者に承諾を得る必要はありません。

ただし、

承諾がないケースでは質権者は無過失責任となり、不可抗力で目的物に損傷等があった場合でも責任を取らなければなりません。

一方、承諾を得ている場合目的物に何かあっても、質権者に過失がなければ責任を取る必要はありません。このあたり、留置権や先取特権の規定が準用されています。

流質はNG

目的物の所有権を取得させて弁済とするような、流質は原則禁止されています。弁済を名目に物を奪われることにもなりかねず、債務者側の立場が危うくなるからです。

しかし商行為の範囲で流質をするのは例外的に許されています。

質権者は善管注意義務を負う

質権の目的物につき、質権者はみんな善管注意義務を負います。

まとめ

  • 動産質は、占有改定以外の引渡しで成立し、使用収益はできないが承諾があれば目的物を賃貸できる。
  • 不動産質も引渡しで成立し、使用収益は自由果実も習得できるが費用・利息については自分持ち
  • 債権質は二重譲渡と同じ対抗要件で、目的物の債権の債務者に直接取り立てて優先弁済を受けられる。
  • いずれも、転質はOK、流質はNG、善管注意義務を負う。