他人物売買の解除と損害賠償

ここでは売買契約についてまとめていきます。
特に、全部他人物・一部他人物・数量不足・用益権や担保権が付着・隠れた瑕疵のある物、について買主が請求できるパターンを整理していきます。

売買契約で買主が請求できること

全部他人物

買主が善意 = 解除および損害賠償
買主が悪意 = 解除のみ可能(※ 売主に過失があれば損害賠償請求可能)

他人物やっぱり売れませんでした。【売主】

【善意の買主】契約解除(と損害賠償も!)

【悪意の買主】契約解除

ちなみに、買主が善意の場合に解除と損害があれば損害賠償を請求できるのは抵当権が付いている場合のケースと同じ(後述)。

損害賠償請求については、損害が生じてしまったケースのみに問題となる。

売主が善意の場合、
→ 善意の買主へは、自分から損害賠償して解除ができる。
→ 悪意の買主へは、通知をするだけで解除ができる。

買主がこの権利を行使できる期間についての定めはありません。

小まとめ

全部他人物売買において、
買主は善意悪意問わず解除はできる

一部他人物

買主が善意 = 減額と解除および損害賠償
   悪意 = 減額のみ可能

一部他人物のままやけどどうする?【売主】

【善意】代金減額または解除!(と損害賠償も!)

【悪意】その分は代金減額して

一部他人物売買における買主は、善意悪意を問わず代金減額請求はできる。
全部他人物と違って悪意者は解除ができない。

また、権利を行使できる期間は知った時から1年(悪意者は当初から知っているから契約時から1年)。

子まとめ

一部他人物の場合、
善意悪意者ともに代金減額請求は可能。
タイムリミットは知ってから1年。

数量不足・一部滅失

買主が善意 = 減額と解除および損害賠償
   悪意 = (条文ナシ:何もできない)

足らんかったわ。【売主】

【善意】じゃあその分減額するか解除!(と損害賠償も!)

【悪意】(知っててなぜ買ってしまった・・?)

善意者の規定は一部他人の場合と同じ。

知った時から1年という期間も同じ。

小まとめ

数量不足時の善意の買主は一部他人物と同じく、
減額請求または解除ができる。
1年のタイムリミットも同じ。

用益権(地上権など)の付着

買主が善意 = 解除および損害賠償
   悪意 = (条文ナシ:何もできない)

地上権残ってるわ。【売主】

【善意】解除!(と損害賠償!)

【悪意】(知っててなぜ買ってしまった・・?)

一部他人物・数量不足などに近いケースだが、
これらに比べて区分が難しく代金減額請求ができない。

権利行使の期間は1年と同様。

小まとめ

用益権の付着した売買では、
代金減額請求ができない。

担保権(抵当権など)の付着

 買主が善意 = 解除および損害賠償
    悪意 = 解除および損害賠償

抵当権残ってるわ。【売主】

【善意】解除!(と損害賠償!)

【悪意】解除!(と損害賠償!)

売主自身が持つ不動産(抵当権付き)を売買の目的物にし、その主債務は支払う予定でこうした契約はよく行われている。この抵当権が消えることに期待して取引した悪意者にも優しくする必要性はある。そのため善悪問わず解除ができる。

小まとめ

担保権のついた物の売買では、
善悪問わず解除ができる。

隠れた瑕疵(瑕疵担保責任)

買主が善意 = 解除および損害賠償
悪意有過失 = 何もできない

瑕疵が隠れてたわ。【売主】

【善意】解除!(と損害賠償も!)

【悪意】知ってる

中古車に、契約の前から欠陥があった場合の問題。
⇔ 契約後の瑕疵なら債務不履行または危険負担の問題

ここでは、買主が売主に瑕疵担保責任を追及するため、善意かつ無過失であることが要求される。
悪意の買主は瑕疵について知った上で取引しているため文句は言えない。

権利が行使できる期間は1年間。

※瑕疵担保責任
隠れた瑕疵により目的を達せられなければ解除ができる。売主は無過失責任。※危険負担
危険負担とは債務者(売主)の責めに帰すべき事由によらず履行不能になっている状態。
民法の原則は「債務者主義」だが、特定物については「債権者主義」、つまりここでは買主の負担となる。
 契約前 → 瑕疵担保責任で売主が不利
 契約後 → 特定物なら例外的に買主が不利

小まとめ

隠れた瑕疵のある売買において、
買主は善意無過失なら瑕疵担保責任を追及できる。

まとめ

売買契約において、目的物が他人の物であったり数量が不足していたり、何かしらの権利が付着している場合、基本的に善意の買主は契約の解除ができる。損害があれば損害賠償もできる。

全部他人物売買では制限期間ないが、それ以外は権利が行使できることを知ってから1年間に限って請求ができる。

悪意の買主は、目的物が数量不足していたり用益権が付いていたり、隠れた瑕疵がある場合でも何もできない。