要点整理
行政手続法は、
「処分」「行政指導」「届出」「命令等」
の手続きを一般的に定めた法律。
地方公共団体の措置は一部を除き適用除外。
全体構造
行政手続法の目的は、
そして国民の権利利益の保護。
そのために、一定の行政作用についての手続きを定めている。
1.処分
2.行政指導
3.届出
4.命令等
を言う。
処分とは
処分には「申請に対する処分」と「不利益処分」とがある。
申請に対する処分
「申請」とは、

この申請は到達するだけで行政庁に諾否応答の義務を発生させる。
そして、この諾否の判断は「審査基準」によらなければならない。
この審査基準については、定めることもそれを公表することも義務。

審査基準とは別に、標準処理期間を定める努力義務もある。
ただし設定したならばこれを公表する義務が生まれる。

申請に対する処分について、利害関係者を考慮すべき定めがあれば
公聴会等を行う努力義務がある。
– 「申請に対する処分」のまとめ –
①申請は到達することで
行政庁に応答義務発生
↓
②審査基準は
設定も公表も義務
↓
③標準処理期間の設定は努力義務だが
公表の義務はあり
↓
④処分について
公聴会等を行うことは努力義務
不利益処分
不利益処分とは、
行政庁が法令に基づいて特定の者を名あて人とし、直接義務を課す処分または権利の制限する処分をいう。
上の審査基準とは異なり、
「処分基準」の設定については努力義務とされている。
さらにこれの公表についても努力義務とされている。
不利益処分を受ける者には意見陳述手続きが用意されている。
その1つである「聴聞」は、
- 原則口頭で審理
- 文書閲覧権あり
- 参加人の規定あり
他方「弁明の機会の付与」では、
- 原則書面で審理
- 文書閲覧権なし
- 参加人の規定なし
①不利益処分は、
直接義務を課すor制限をかける処分
↓
②処分基準の設定も公表も努力義務
↓
③処分をするには
意見陳述手続(聴聞・弁明の機会の付与)が必要
行政指導とは
行政指導とは、
行政目的実現に向けて特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為、かつ、「処分」に該当しないもの。
- 指導を行うものは趣旨および内容、そして責任者を明確にする義務がある。
- 例外を除いて書面の交付を請求された時には交付義務が生じる。
複数の者を対象に行政指導を行う場合
あらかじめ行政指導指針を定め、これを公表しなければならない。
処分等の求め
第三十六条の三 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
届出とは
届出とは、
行政庁に一定の行為の事項を通知する行為をいう。
第三十七条 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
命令等とは
命令等とは、
- 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む)、規則
- 審査基準
- 処分基準
- 行政指導指針
をいう。
命令等を定めるには案の作成後、「意見公募手続」を必要とする。
・30日以上の意見提出期間が必要(やむを得ない場合30日未満でも可)
・委員会等の議を経てすでに意見公募手続に準じた手続きをしているなら意見公募手続はしなくて良い。
・提出された意見は十分に考慮すべき(反映させる義務はない)
・命令等の公布と同時に、「提出意見」や「考慮した結果および理由」などを公示する必要がある。
適用除外
行政手続法第3条に定められている個別の処分については、この法律が適用除外とされる。
さらに地方公共団体の措置についても適用除外となるものがある。
地方公共団体で適用除外とされていること
- 処分(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているもの)
- 行政指導
- 届出(根拠となる規定が条例又は規則に置かれているもの)
- 命令等